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第12回「北畠サロン」文化講座が開催されました。豊田 繁氏(高20期)「タケプロン物語 ─新薬づくりの人間ドラマ─」広報委員会

[ 2017-04-20 ]

平成29年4月1日(土)14時から北畠会館1Fホールにおいて、第12回 「北畠サロン」文化講座が開催されました。


講師に、大阪医薬品協会・国際提携アドバイザーの豊田 繁氏(高20期)をお迎えし「タケプロン物語 ─新薬づくりの人間ドラマ─」と題してご講演いただきました。



 豊田氏は、富山大学薬学部をご卒業され、大阪大学大学院薬学研究科修士課程を終了後、武田薬品工業株式会社に入社されます。36歳のときに米国・サンダーバード国際経営大学院でMBA(経営学修士)を取得され、国内研究所・営業担当から、 台湾武田・営業責任者、国際本部タケプロン国際プロジェクトマネジャー、天津武田(中国)の営業責任者を歴任されます。

 10.8兆円と言われる日本の医療用医薬品市場で(世界市場は70兆円)、4.2兆円を売り上げた「タケプロン」の研究・開発・販売の最前線に立ち会われたことを契機に、『タケプロン物語』を執筆・自費出版されました。「タケプロン」とはどんなお薬で、なぜこんなに売り上げることができたのでしょうか?


武田薬品の武田國男元会長が、「厚生労働省に守られている日本にいては『タケダ』は潰れる!米国で勝負するのだ!」と、米国での売り上げが1985年は”0”であったのを、現在60%を占めるまでにしました。
そして、国際要員を育てる目的もあり、私は米国でMBAを取らせてもらったのですが、その時に目が覚めたというか、面白い経験をさせてもらいました。
 日本の薬学部では、医薬品のマーケティングを教えません。いくら良い薬を開発しても、最後にマーケティングが成功しなければ患者に薬は届かないのです。

 “儲ける”ということではなく、ミッキー・C.スミス博士(ミシシッピー薬学部 医療品マーケティングマネジメントセンター所長兼教務)の言葉として「”良いマーケティングは、良い薬剤につながる”と信じている。例外もあるが、市場システムが働く限り、程度の悪いマーケティングは長続きしないし、質の悪い薬剤も長続きしない」があります。まさに、良いマーケティングと良い薬剤が稀に重なったのが『タケプロン』なのです。

 薬にはできるだけ世話にならない方がいいのですが、医者が治療するに当たって医療用医薬品は無くてはならないものです。その医薬品についての研究開発・海外での販売についてはほとんど知られていないのが現状です。製薬会社の中にもわかっていない人がいるくらいですので、そこのところを残さないといけないと思い、『タケプロン物語』を書きました。

薬というものは、同じものでも国が変わると「商標」が変わります(例:『タケプロン』は米国では『PREVACID』)。そして「保健・医療制度」、「値段」、「販売方法」の違うところで売らないといけないのです。
例えば、トヨタ自動車の『プリウス』は、どの国へもって行こうが『プリウス』で、誰が運転しても走らせることができます。薬はそういう訳にはいかなくて、その国で売るためには当局の許可を取り、”特許”もカバーしなければいけないのです。

まず、医療用医薬品とは、化学物質に医薬品としての情報が加わったものです。そして、”薬”は所詮”毒”です。その”毒”を”薬”にするのが、60種類もの動物実験や臨床試験なのです。初めて合成した化合物は人間にとって”未知との遭遇”なのです。適切な用量にしていくことが大事な仕事なのです。

新薬は、研究開始から臨床試験を経て承認されるまで10年〜18年ほどかかり、200〜800億円の研究開発費をかけて、市販されるまでの成功率はわずか0.13%です。FDA(Food and Drug Administration:食品医薬品局。保健福祉省に属する米国の政府機関。食品添加物の検査や取り締まり、医薬品の認可などを行う)認可新薬数は年間20個程度です。

医薬品の開発プロセスは、3つのフェーズに分けられます。フェーズ1(第1相試験)は、少数の健康な人を対象に、主として副作用など安全性について確認する。フェーズ2(第2相試験)は、少数の患者を対象に、有効で安全な投薬量・方法などを確認する。フェーズ3(第3相試験)は、多数の患者を対象に、有効性と安全性について既存薬との比較をおこなう(@日本)のです。

FDAは、基本的に偽薬との二重盲検対照試験が要求され、日本より厳しいので認可まで時間がかかります。また、日本との違いは、FDAと主要エンドポイント(評価項目)でどのような結果を示せば承認されるか話し合うことが可能です。

『タケプロン』は、「胃食道逆流症」の自覚症状である胸やけや呑酸に対して使われる薬です。”酸”がなければ潰瘍はできませんので、その”酸”を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)なのです。
 「胃粘膜保護薬[例:セルベックス、ムコスタなど]」が医療用医薬品に認められているのは日本だけで、欧米では認められていません。より胃薬として強い「胃酸分泌抑制薬(H2ブロッカー[例:ガスター]、PPI[例:ネキシウム])」が認められていますが、『タケプロン』は、それらより酸分泌抑制効果が上回り、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療のためにも用いられます。

米国で成功しないことには大きな利益があげられません(たくさんの患者に薬が届きません)。逆流性食道炎の推定患者数は、日本人が2,400万人で、米国では3,900万人と膨大です。これは両国ともストレス社会であることと、日本人は”酸”分泌量が多く、アメリカ人には”肥満”の人が多いので横隔膜が高い位置にあるということが関係しています。開発とマーケティングリサーチがタッグを組んだからこそ、売り上げの貢献につながりました。

ランソプラゾール(日本の製品名である『タケプロン』の有効成分を示す一般名で、プロトンポンプ阻害薬の一つ)なくして、今のタケダはないと言っても過言ではありません。現在のタケダの時価総額が3兆円なので、『タケプロン』はそれ以上稼いでいることになります。

1993年にタケプロンの初代国際プロジェクトマネジャーを務めたとき、世界22か国のランソプラゾールのプロダクトマネジャーを集めて、ポジショニング、発売時の公表文献、価格戦略について会議を持ちました。そしてランソプラゾール クラブを結成し、世界の消化器病学会でのブースの出展やシンポジウムを開き精力的に活動しました。

 薬価基準は国ごとに違うので、どの国から売っていくのかということも重要です。日本では厚生労働省が薬の値段を決めるのですが、米国は自由薬価制度なので一番安い値段をつけた会社だけが生き残ります。特許が切れたら米国では7割がジェネリック医薬品になってしまい、オリジナル薬の市場は一気になくなります。そうなると、研究開発費に莫大な投資をしてもそれを回収することが難しくなってくるので、そこのところもマーケティングが必要になってくるのです。
『タケプロン』は、2009年9月に米国の特許が切れ、ジェネリック医薬品が参入するまで十二分に利益をあげることができました。

 特許がなければ、苦労し、大金をかけて新薬を売り出しても、すぐコピーされて偽物が出てきたらもう売れません。そういうことから守るために特許はとても大事なのです。
 『タケプロン』は1960年代後半に研究を開始し、1984年に特許出願。1991年にフランスで世界初の承認を得て、基準新薬申請書を基に各国での申請を試み、11ヵ国で製造承認を得、26か国で申請済みである。そして1995年に米国で発売開始されます。
 医薬品の特許期間は、出願した日から20年なので、フランスでは13年、米国では9年しか残っていません。この期間にいかに売るかが勝負になります。

 米国がフランスより承認に時間がかかったのは、世界で一番レベルが高い(=厳しい) FDAの審査の影響です。二度の2年癌原生試験をしなければならなかったからです。「ない」ものを証明することが最も難しいのです。それは、時間ばかりでなくお金もかかってしまいます。ただ、『タケプロン』に関しては、この時間がかかったことが幸いし、効能を増やすことができ、売り上げが伸びることにつながりました。ある意味、ギャンブルの世界です。
今、話題の『オプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤)』の開発のきっかけを発見されたのは、日本の本庶 佑先生 京都大学名誉教授なのに、特許が弱いせいで、薬の開発は米国にリードされてしまっています。

医薬品と医薬品産業の貢献は、1.寿命の延長、2.生活様式の改善(Quality of Life)、3.経済の活性化と雇用機会の増大、4.生命科学の発展があげられます。

 そして特に薬においてマーケティングが大切なのは、研究・開発したものが病気の人・患者に届いて(販売されて)完結するので、販売戦略と継続性があってこそ、世界の患者に対して情報提供し届けることができているということです。

そこで、いつも考えていることは、1.クスリはリスク、2.人間のための製薬、3.早くフェーズ1(第1相試験)に入る、4.倫理・コンプライアンス・動物愛護の4つです。

創薬にはもの凄い労力と時間がかかります。辛く、くじけそうになることもしばしばありました。その時に思ったことは「世のため、人のため、患者のため」という、武田の経営理念でした。しんどい時を超えなければ、成功はやってこないと思います。理念を持つことはとても大切です。

日本の製薬産業の弱体化は深刻です。『タケプロン』のような成功体験から学び、それを成しえる従業員を育てなくてはなりません。

そして現在から未来のために、再生医療のために、いろいろと活動をしています。

山中伸弥氏とノーベル賞受賞前から
交流があり、それがきっかけで「再生医療」の追っかけをするようになりました。”山中伸弥氏”をはじめ、世界初のiPS細胞による加齢黄斑変性の移植手術を成功させた”高橋政代氏”、心筋シートを開発された心臓外科医の”澤 芳樹氏”です。

2010年にタケダと京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の共同研究に関する10年間の研究契約締結の引き金を引くことができたと自己満足しています。2015年1月には、あるシンポジウムの終わりに山中伸弥氏から直接花束を贈られ感動しました。

再生医療の発展には、”コストを下げる”、”リスクを下げる”、”効果を上げる”ことが大事だと高橋政代氏はおっしゃっていて、それに向かってこつこつと努力されている姿が好きです。再生医療の“安く” “正確”で “早い”というキーファクターは、『タケプロン』と同じで、お金を払えばよい医療が受けられるという米国型はもう終わったと感じています。“価格”“安全性”“スピード”が大切で、倫理を含む客観性のある社会のコンセンサスが必要です。


MBAを取得されたお立場から見えてくるお話は興味深く、治験や特許期間などの時間との闘いなど、「薬」を違う角度から考えてみる契機になりました。
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『タケプロン物語 ¬-4.2兆円売り上げ 武田薬品の奇跡- 』をお読みになりたい方は…
*お問い合わせ・お申し込み:
郵便局の振込取扱票にて口座番号00940−7−275799豊田繁で、2,000円をご住所・お名前・電話番号をご記入の上お振込みください。(梅田出版/四六判/252ページ)
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講演後はケーキとお茶で親睦を深め、散会となりました。
次回は6月17日(土)、獣医師 細井戸 大成氏(高26期)に「ペットとの暮らしを楽しもう」と題してお話しいただきます。

広報委員会 杉原元美(高36期)

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